ブラッシングは抜け毛の原因?ブラシの選び方と毎日のとかし方
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朝、ブラシを手に取って髪をとかしたあと、ブラシに残った髪の量に手が止まる。洗面台に落ちた何本かを、つい目で追ってしまう。40代を過ぎたころから、そんな朝が増えたというお話をよくうかがいます。とかすたびに髪が減っていくような気がして、ブラッシングそのものを控えるようになった、という方も少なくありません。
けれど、とかすのをやめると今度はからまりが残り、洗うときや乾かすときにかえって強い力がかかります。どちらに転んでも気持ちが休まらない、という状態です。この記事では、ブラシを通したときに髪に何が起きているのかを整理したうえで、ブラシの選び方と、毎日のとかし方の順番をまとめます。道具を買い替える前に、力の抜きどころを見直すほうが先だというのが、現場に立っていての実感です。
ブラシに残る髪の多くは、とかす前から離れていた髪です
先にお伝えしたい要点は二つあります。ひとつは、ブラシに残っている髪は、ブラシが引き抜いたものばかりではないということ。もうひとつは、負担を左右するのは道具の値段ではなく、とかす順番と力の強さだということです。
髪は一本ずつ独立して落ちていくわけではありません。根元から離れたあとも、まわりの髪にからまってしばらく頭に留まっていることがあります。それが、ブラシを通したタイミングでまとめて出てくる。ですから、朝のブラッシングで数本まとまって出てきたとしても、その瞬間に抜けたものとは限りません。一日とかさずに過ごした翌朝ほどブラシに残る量が多く見えるのは、そのためです。
この見方が分かっていると、判断の軸が変わります。ブラシに残る量に一喜一憂するのではなく、力のかけ方を整えたうえで、時間の幅で変化を見る。次の章から、その具体的なやり方を順に見ていきます。

ブラシを通したとき、髪に何が起きているか
道具の話に入る前に、ブラシが髪に触れたときの力の伝わり方を押さえておきます。ここが分かると、どこで力を抜けばよいかが自然と見えてきます。
からまりの位置で、力のかかり方が変わります
ブラシを根元から一気に下ろすと、途中でからまりに当たったところで動きが止まります。そのとき、止まった場所より上の髪には、ブラシを押し下げる力がそのまま伝わります。引っかかった一点に力が集まり、髪が引っぱられる状態です。頭皮側も同時に引かれるので、生え際やつむじのあたりにチクチクとした感じが出ることがあります。
反対に、毛先の側から少しずつほどいていくと、からまりが小さいうちに解消されるため、一点に力が集まりません。同じ本数をとかしていても、順番を変えるだけで髪にかかる負担はずいぶん変わります。上から下へ一気に、が習慣になっている方は、まずここだけでも入れ替えてみてください。
乾いた髪と濡れた髪では、扱いを分けます
濡れた髪は水を含んでやわらかくなり、引っぱられたときに伸びやすい状態になっています。同じ力で通しても、乾いているときより形が変わりやすい、と考えてください。タオルドライの直後にいきなり細かい目のブラシを通すのは、負担の大きい扱い方です。
濡れた状態でほどきたいときは、目の粗いコームや、水に強い樹脂製のブラシで、毛先から少しずつ。そのあと乾かす、という順番にします。洗ってから乾かすまでの扱い方はシャンプーの洗い方と乾かし方|大人の髪と頭皮を守る基本で詳しく整理していますので、あわせて読んでいただくと一連の流れがつながります。
ブラシは目的から逆算して選びます
ブラシ売り場に立つと、形も素材も価格も幅があって迷います。選ぶときは「良いブラシ」を探すのではなく、自分がどの場面で使いたいのかを先に決めるほうが早く決まります。
からまりをほどく道具と、地肌に当てる道具は別ものです
ひとつのブラシで全部をまかなおうとすると、どこかに無理が出ます。からまりをほどくのが目的なら、ピンとピンの間隔が広く、根元にクッションがあって沈むタイプが向いています。引っかかったときにクッションが逃げてくれるので、力がそのまま髪に伝わりません。
一方、頭皮に当ててここちよさを求めるのであれば、ピンの先端が丸く加工されたものを選びます。この用途は目的が違いますので、ほどく用と分けて持っていただいたほうが、結果的にどちらも扱いやすくなります。二本持つのは大げさに思えるかもしれませんが、片方を無理な用途に使わずにすむぶん、それぞれが長く使えます。
ピンの先端とクッションの有無を見ます
店頭で確かめられるのは、主にこの二つです。ピンの先端に丸い玉が付いているか、あるいは先端が丸く処理されているか。手の甲に軽く当ててみて、チクリとする感触があるものは、頭皮に当てる用途には向きません。
クッションについては、手のひらに押しつけてみて、ピンの土台が沈むかどうかを見ます。沈むタイプは力の逃げ場があり、沈まないタイプは形を整えやすい代わりに力がそのまま伝わります。毎日のからまりほどきに使うなら、沈むタイプのほうが扱いやすいと思います。
素材で変わるのは、静電気の起きやすさです
木製や豚毛のブラシは、乾燥する季節に髪が広がりにくく感じられることがあります。空気が乾いていると髪が広がって扱いにくくなりますので、冬場だけ持ち替えるという方もいらっしゃいます。ただ、水に弱いものが多いため、濡れた髪には使いにくいという面もあります。
樹脂製は水に強く、洗って乾かせるものが多いので、お風呂上がりの用途に向いています。素材の違いは優劣ではなく、得意な場面の違いです。ひとつを完璧に選ぼうとするより、乾いた髪用と濡れた髪用の二本にするほうが、迷いが減ります。
毎日のとかし方は、順番で負担が変わります
道具が決まったら、次は通し方です。手順そのものは単純で、覚えることは多くありません。
毛先から、少しずつ上へ
まず毛先だけをとかします。次に、手のひら一つぶんくらい上から。それを繰り返して、少しずつ位置を上げていきます。途中で引っかかったら、そこで押し込まずに一度ブラシを抜き、指でからまりをゆるめてから通し直してください。
急いでいる朝ほど、根元から一気に下ろしたくなりますが、引っかかったときにやり直すことになるので、結局は同じくらいの時間がかかります。最初から下から上へ、と決めておくほうが気持ちも急かされません。
同じ場所を何度も通さない
きれいに整えたい気持ちから、同じところを繰り返しとかしてしまうことがあります。表面のツヤは出ますが、髪の同じ位置に摩擦が重なります。特に、いつも同じ分け目に沿って一方向へ流し続けていると、その線の周辺だけ負担が偏ります。
分け目については、位置を少しずらすだけでも、当たる場所が散らばります。きっちり変えなくても、とかし始める向きを日によって変える程度で構いません。仕上がりの見え方も少し変わりますので、朝の支度のついでに試してみてください。
落ちた髪が気になるときの見方
とかし方を整えても、落ちる髪が目に入ること自体はなくなりません。そこで、見方のほうを決めておきます。
本数を数えるより、変化の幅で見ます
一日に何本までなら大丈夫、という数字を自分で決めて数え始めると、たいてい苦しくなります。日によって差が出るのが普通ですし、前の日にとかさなかったかどうかでも変わるからです。それより、同じ条件で撮った写真を月に一度残しておくほうが、あとから振り返ったときに役に立ちます。
記録の残し方と、比べるときの条件のそろえ方は抜け毛が増えた気がするとき|変化の見方と記録のしかたで整理しています。気になり始めた時期に始めておくと、相談することになったときの材料にもなります。
落ちた髪の端を見ると、切れた髪かどうか分かります
ブラシに残った髪をよく見ると、根元側に小さな白いふくらみが付いているものと、両端とも同じ細さのものが混ざっています。後者は途中で切れた髪で、抜けた髪とは事情が違います。切れた髪が多いのであれば、見直す先は頭皮ではなく、髪への摩擦や熱の当て方です。
見分け方の手順は切れ毛が増えたと感じたら|抜け毛との見分け方とケアの順番に手順としてまとめてありますので、洗面台で確かめてみてください。原因の見当が変われば、次に手を打つ場所も変わります。
道具や扱い方を整えても変わらない状態が続いているときは、ご自宅のケアの範囲で答えを探し続けるより、皮膚科や女性の薄毛を扱うクリニックで一度見てもらうほうが早いことがあります。頭皮を直接見られる立場の人に確認してもらうと、次に手をつける場所がはっきりします。
美容師の現場から

道具を替える前に、力を抜くところから
ブラシに残る髪が気になったとき、まず手をつけたくなるのは道具の買い替えですが、順番としては後ろで構いません。毛先から少しずつ上へ、引っかかったら押し込まずに一度抜く。この二つを変えるだけで、髪にかかる力の集まり方はずいぶん変わります。そのうえで、乾いた髪用と濡れた髪用に分ける、先端の丸いものにする、と道具を整えていくと、変えた効果も分かりやすくなります。
そして、落ちた髪の量そのものは、日によって差が出るものだと知っておいてください。一本ずつ数えるより、同じ条件の写真を月に一度残すほうが、変化を落ち着いて見られます。頭皮に赤みやかゆみがあるとき、気になる状態が続いているときは、ご自宅のケアの範囲で答えを探し続けず、専門の医療機関への相談を検討してみてください。何かを決めに行くのではなく、今の状態を確かめに行く、という気持ちで十分です。
よくある質問
- Q.ブラッシングは1日に何回するとよいですか?
- A.回数そのものより、どんなときにとかすかで考えるほうが実際的です。乾かす前にからまりをほどく、外出前に表面を整える、というように目的のある場面で通せば十分で、手持ちぶさたに何度も通す必要はありません。回数を増やすほど良いというものではなく、同じ場所に何度も力をかけることのほうが負担になります。
- Q.落ちる髪が気になります。ブラッシングは控えたほうがよいですか?
- A.とかすのをやめると、からまりがほどけないまま残り、シャンプーや乾かすときに強い力がかかりやすくなります。控えるのではなく、力を弱めて回数を減らす方向で調整するほうが現実的です。目に見えて落ちる本数が変わったと感じる状態が続くときは、道具の問題として考えるより、皮膚科や専門クリニックへ相談を検討してください。
- Q.地肌に当てるブラッシングは毎日してよいのでしょうか?
- A.頭皮に赤みやかゆみがないのであれば、やさしく当てる範囲では日課にしていただいて構いません。ただし先端がとがったブラシで強くこすると、頭皮に細かい傷がつくことがあります。当てるなら先端が丸いものを選び、痛気持ちいいと感じる手前で止めるのが目安です。しみる感じや痛みがあるときは中止してください。
- Q.木製と樹脂製のブラシでは何が違いますか?
- A.大きく変わるのは静電気の起きやすさと、当たりのやわらかさです。乾燥する季節に髪が広がりやすい方は、木製や豚毛のものにすると扱いやすく感じることがあります。一方、濡れた髪をほどく用途では、水に強く洗いやすい樹脂製が扱いやすい場面もあります。どちらが優れているというより、使う場面で選び分けるものです。
- Q.ブラシはどのくらいで買い替えるものですか?
- A.決まった期限はありませんが、ピンが折れたり先端の丸い部分が取れたりしたものは、髪や頭皮に当たる形が変わっているので替えどきです。クッション部分がへたって沈まなくなったときも同じです。見た目が使えていても、当たり方が変わったブラシは力の逃げ場がなくなります。
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