寝るとき髪はまとめる?寝ている間の摩擦と枕まわりの見直し方
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朝、目が覚めて鏡を見ると、髪が思いのほか絡まっている。片側だけ大きくうねっている。ブラシを通したら、根元の色が違う短い毛が何本か落ちていた。眠っているあいだに髪に何が起きているのだろう、と感じたことはないでしょうか。
日中のケアには気を配っていても、寝ているあいだの髪については考える機会があまりありません。けれど、一晩に6時間眠るとすれば、その時間ずっと髪は枕と触れ合い、寝返りのたびにこすれ続けています。シャンプーやブローに使う数分と比べれば、はるかに長い時間です。この記事では、夜のあいだに髪へかかっている負担を整理したうえで、まとめるか下ろすか、枕まわりで何ができるのかを、無理なく続けられる範囲で考えていきます。
夜のあいだに減らせるのは「こすれる回数」と「引っぱる力」
先にお伝えしたい要点は、寝ているあいだの髪に対してできることは、大きく2つに整理できるということです。髪と寝具がこすれる回数を減らすことと、結んだゴムやピンが髪を引っぱる力を減らすこと。この2つです。
夜のケアというと、新しいオイルやトリートメントを足すことを思い浮かべる方が多いのですが、実際に見直す余地が残っているのは、足す方向より減らす方向にあります。髪の表面は、濡れているときや強くこすられたときに傷つきやすい状態になります。枕の上で6時間こすれ続ける、あるいは同じ場所を毎晩きつく結び続ける。この2つは、日中の数分のケアでは取り返しにくい積み重ねになります。
そして、この2つはどちらもお金をかけずに着手できます。結ぶ強さをゆるめる、結ぶ位置を変える、乾かしてから横になる。ここまでは今夜からできることです。そのうえで、枕カバーの素材やナイトキャップといった道具を検討する、という順番で考えると、無駄な出費をせずに済みます。

朝の絡まりは、眠っているあいだの何から来ているのか
「寝ぐせ」とひとことで呼んでいる状態も、分解してみると原因の違ういくつかの現象が混ざっています。どれに当てはまるかで、見直す場所が変わります。
一晩のうちに、何度も寝返りを打っている
人は眠っているあいだ、姿勢を変えるために何度も寝返りを打ちます。そのたびに、頭は枕の上を滑り、髪は枕カバーの表面を擦っていきます。1回ごとの力はごくわずかですが、一晩でその回数が積み重なり、それが毎晩続きます。
このとき、髪同士も互いにこすれ合っています。長い髪が体の下に入り込んで引っぱられる、寝返りの途中で髪が首や腕に巻き込まれる、といったことも起こります。朝起きたときに毛先だけが強く絡まっているなら、寝返りのたびに毛先が集まる場所ができています。
濡れたまま眠ると、扱いはさらに難しくなる
髪が濡れているあいだは、表面が水分を含んで柔らかくなり、乾いているときより形が変わりやすい状態です。そのまま枕に押しつけて眠れば、朝にはその形が残ります。強い寝ぐせがつくのは、多くの場合この状態です。
加えて、髪が濡れたままだと頭皮も蒸れた状態が長く続きます。乾かす時間を確保するために現実的なのは、「毎晩きちんと乾かす」と決めることではなく、入浴の時刻そのものを少し前へ動かすことです。厚生労働省の e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」は入浴について「就寝1~2時間前に入浴するのがもっとも効果的です」と述べています(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」)。眠りの観点から示されている目安ですが、この時間の余裕はそのまま、髪を乾かしてから横になるための余裕にもなります。
乾かす手順そのものに不安がある方は、根元から乾かす順番やドライヤーの当て方をシャンプーの洗い方と乾かし方|大人の髪と頭皮を守る基本に整理しているので、あわせて確認してみてください。
短い毛が落ちているとき、それは抜け毛とは限らない
朝、枕に短い毛が数本ついていると、抜け毛が増えたように感じてしまいます。ただ、根元に白いふくらみがついているものは自然に抜けた毛、両端が不ぞろいに切れているものは途中で折れた切れ毛と、性質が異なります。摩擦の影響が出やすいのは後者のほうです。
とはいえ、毎朝1本ずつ確かめるのは現実的ではありませんし、確かめるほどに不安が強くなることもあります。見分け方の手順と、量の変化を落ち着いて見るための考え方は切れ毛が増えたと感じたら|抜け毛との見分け方とケアの順番にまとめています。
寝るとき、髪はまとめる?下ろす?
サロンでもよくいただく質問です。結論から言えば、髪の長さと絡まりやすさによって向き不向きが変わるため、どちらか一方が正しいというものではありません。
肩につかない長さなら、下ろしたままでも扱いやすい
ボブやショートのように肩につかない長さであれば、下ろしたままでも髪が枕の上に広がり、体の下に入り込むことは少なくなります。無理にまとめると、かえって短い毛がゴムから飛び出して折れやすくなることもあります。
この長さで気をつけたいのは、むしろ枕との接触面です。後頭部や側頭部の同じ場所がいつもつぶれる、その部分だけ寝ぐせが強い、という場合は、髪をまとめることよりも枕まわりを見直すほうが効きます。
肩より長いなら、ゆるく、低い位置で
肩より長い髪は、寝返りのたびに体の下へ入り込みやすくなります。この状態では、体重で髪が引っぱられたり、動きに合わせて強くこすれたりします。ゆるくまとめておくほうが、髪の動く範囲が限られるぶん扱いやすくなります。
まとめ方には目安があります。まず、頭のてっぺんや高い位置で結ばないこと。仰向けになったときに結び目が枕に当たり、そこを支点に髪が引っぱられます。横か、うなじに近い低い位置に置くほうが当たりにくくなります。次に、ゴムと頭皮のあいだに指が1本入るくらいのゆるさにしておくこと。日中と同じ強さで結ぶと、眠っているあいだじゅう生え際に力がかかり続けます。細いゴムやピンではなく、幅のある布のものや、シュシュのようにやわらかいものを選ぶのも一つの方法です。
結ぶ位置を毎日同じにしないという工夫も有効です。同じ場所に力がかかり続ける状態を避けたいという考え方については、日中のまとめ髪も含めていつも同じ結び方で大丈夫?まとめ髪と生え際の負担の見直し方で詳しく整理しています。
「ゆるい三つ編み」という中間の選択肢
まとめると跡がつく、下ろすと絡まる。その中間として、毛先まで編み込まないゆるい三つ編みにして、毛先を細いゴムで軽く留めておく方法があります。髪同士がまとまって動くため互いにこすれる範囲が狭くなり、結び目一箇所に力が集中することもありません。
朝ほどくとゆるいウェーブがつくため、それを好まない方には向きません。ストレートに乾かしたい方は、まとめずに枕まわりを見直す方向で考えるほうが合っています。
枕まわりで変えられること
髪の側の扱いを整えたら、次は触れている相手の側です。ここは道具の話になるので、費用と効果のバランスを見ながら、必要な範囲で取り入れてください。
枕カバーの素材を見直す
もっとも身近なのが枕カバーです。表面がざらついた素材や、洗濯を繰り返して毛羽立った綿は、髪との摩擦が大きくなります。シルクやサテン、なめらかな化学繊維のものは表面の滑りがよく、髪が引っかかりにくくなります。
ただし、新しいものを買う前に確認できることがあります。いま使っているカバーが毛羽立っていないか、縫い目やファスナーが顔や髪に当たる位置にないか。買い替えるとしても、まずは手持ちのなかで表面のなめらかなものに替えてみて、朝の絡まり方が変わるかを見てからでも遅くありません。シルクは扱いに手間がかかるものもあるため、洗濯のしやすさも一緒に確かめておくと、続けやすさが変わります。
ナイトキャップや布で包むという方法
髪全体をキャップや布で包んでしまえば、枕との接触そのものが減ります。とくに長い髪や、乾燥して絡まりやすい髪の方には扱いやすい方法です。
気をつけたいのは締めつけです。ずれないようにと縁がきついものを選ぶと、今度は生え際に力がかかり続けることになります。頭に軽くのっている程度で、朝までにずれてしまってもよい、くらいの気持ちで選ぶほうが無理がありません。眠りにくさを感じるようなら、続ける必要はありません。
寝る前のブラッシングは、やさしく一度だけ
眠る前に髪をとかしておくと、絡まった状態のまま一晩こすれることを避けられます。ただし、頭皮を刺激する目的で何度も強くとかす必要はありません。毛先のもつれから順にほどき、最後に根元から毛先へ一度通す程度で十分です。
洗い流さないトリートメントを使う場合は、就寝直前に足すのではなく、乾かす工程のなかに組み込んでおくほうが、手順として続きます。
摩擦だけで、髪の変化は説明できない
ここまで夜の扱いについて整理してきましたが、大切な前提を添えておきます。髪の変化を、摩擦や結び方だけで説明することはできません。
女性の髪の変化について、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは次のように説明しています。
「男性ホルモンの影響が明らかである男性型脱毛症と異なり、女性型脱毛症では男性ホルモンの影響に関して明確なデータはなく、女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています。」(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q8「女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?」)
専門の学会が「様々な理由」という書き方をしていることが、ここでは大事な点です。原因を1つに絞れるのであれば、そう書かれているはずです。夜の扱いを見直すことには意味がありますが、それを「原因を取り除く手段」と位置づけてしまうと、変化が見えないときに落ち込むことになります。自分の手で調整できる範囲を整えておく、という位置づけがちょうどよい距離感です。
そのうえで、セルフケアの範囲で抱え込まないほうがよい状態もあります。
窓口になるのは皮膚科や、女性の薄毛を扱う専門クリニックです。相談は治療を始めると決めた人だけが行く場所ではありません。いまの状態を確かめて、これからどうするかを判断するための材料をもらう場としても使えます。

美容師の現場から
今夜、ひとつだけ変えるとしたら
寝ているあいだの髪にできることは、こすれる回数を減らすことと、引っぱる力を減らすこと。この2つに尽きます。乾かしてから横になる、結ぶならゆるく低い位置にする、枕まわりのなめらかさを確かめる。どれも道具を買い足さずに始められて、毎晩繰り返される時間だからこそ、積み重なると意味を持ちます。
全部を今夜から変える必要はありません。濡れたまま寝てしまう日が多いなら入浴の時刻から、結び跡が気になるなら結ぶ強さから。ひとつずつで十分です。そして、夜の扱いを整えても抜け毛の量や地肌の目立ち方の変化が気になるとき、頭皮に赤みや痛みがあるときは、自分の工夫だけで抱え込まず、皮膚科や専門のクリニックに相談するという選択肢を思い出してください。日々の扱いを整えることと、専門家に診てもらうこと。この2つは、どちらかを選ぶものではなく、並べて持っておけるものです。
参考にした情報
よくある質問
- Q.寝るときは髪をまとめたほうがよいのでしょうか、下ろしたほうがよいのでしょうか?
- A.髪の長さと絡まりやすさによって向き不向きが変わるため、どちらが正解と決まっているわけではありません。肩につかない長さであれば下ろしたままでも枕の上で広がりやすく、肩より長い髪は寝返りのたびに体の下に入り込みやすいため、ゆるくまとめておくほうが扱いやすくなります。まとめる場合は、頭のてっぺんや高い位置ではなく、横や低い位置で、指が1本入るくらいのゆるさにしておくと、引っぱる力がかかりにくくなります。
- Q.シルクの枕カバーやナイトキャップは効果がありますか?
- A.枕カバーやナイトキャップは、髪と寝具のあいだの摩擦を減らすことを目的とした道具です。髪そのものを変えるものではありませんが、朝の絡まり方や広がり方が変わったと感じる方はいらっしゃいます。素材はシルクのほか、なめらかな化学繊維のものもあり、価格にも幅があります。まずは手持ちの綿の枕カバーを毛羽立ちの少ないものに替える、髪をキャップやゆるい布でまとめる、といった範囲から試してみるのも一つの方法です。
- Q.朝に短い毛が枕についているのは抜け毛でしょうか?
- A.根元に白い部分がついていれば自然に抜けた毛、両端が不ぞろいに切れていれば途中で折れた切れ毛、という見分け方があります。ただし1本ずつ確認するのは現実的ではないため、日ごとの本数に一喜一憂するより、量そのものが以前と変わったかどうかを間隔を空けて見るほうが実態をつかみやすくなります。見分け方の詳しい手順は本文中でご紹介している記事にまとめています。
- Q.濡れた髪のまま寝てしまう日が多いのですが、どうすればよいですか?
- A.毎晩きちんと乾かすことを目標にすると、できなかった日が負担になってしまいます。現実的なのは、入浴の時刻を少し前に動かして、乾かす時間そのものを確保することです。それも難しい日は、毛先まで完璧に乾かそうとせず、根元だけでも乾かしてから休むと、頭皮が蒸れた状態で長時間過ごすことを避けやすくなります。
- Q.寝るときの扱いを見直せば、髪の変化は落ち着きますか?
- A.髪の変化には年齢による髪質の移り変わり、ホルモン環境、頭皮への負担、栄養の状態など複数の要素が重なるため、夜の扱いだけで説明できるものではありません。摩擦や引っぱりを減らすことは、自分の手で見直せる範囲の工夫として意味がありますが、それだけで抱え込む必要はありません。抜け毛の量や地肌の目立ち方が短期間で変わったと感じる場合は、皮膚科や女性の薄毛を扱う専門クリニックへの相談を検討してみてください。
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