トリートメントとヘアオイル、どう使い分ける?大人の髪の基本
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洗面台の棚に、洗い流すトリートメントのチューブと、洗い流さないミルクと、ヘアオイルが並んでいる。どれも途中まで使いかけで、結局その日の気分で手に取っている。サロンでは、そんなお話をよくうかがいます。何か間違ったことをしているわけではないのに、なんとなく釈然としない。それはおそらく、それぞれが何のためのものなのかがはっきりしないまま、種類だけが増えていったからです。
大人になると、髪はうねりやすくなり、以前と同じケアではまとまりにくくなってきます。だから新しいものを試す機会も増えるのですが、増えた分だけ迷いも増えていきます。この記事では、髪につけるケア用品を「役割」で整理し直して、使い分けの基準をお伝えします。商品名や売り場の分類ではなく役割で覚えておくと、次に店頭で迷ったときにも、自分で判断ができるようになります。
髪につけるものは、三つの役割に分けられます
先にお伝えしたい要点です。髪につけるケア用品は、大きく三つの役割に分けられます。ダメージによって失われた部分を補うもの、補ったものを閉じ込めるもの、そして外からの負担から守るもの。この三つです。
役割で分けると、重ねる順番が自然に決まります。補ってから、閉じ込める。閉じ込めてから、守る。逆の順番にすると、あとから塗ったものが内側まで届きにくくなります。使う本数が多いか少ないかよりも、この順番が入れ替わっていないかどうかのほうが、手ざわりの差として出やすいところです。
そしてもうひとつ。同じ役割のものを二つ重ねても、その分だけ効果が積み上がるわけではありません。オイルの上にオイル、ミルクの上にクリームというように、似た役割を重ねると、髪が重くなったりべたついたりする方向に働きます。増やすときは「今持っていない役割はどれか」を先に考えると、棚の中身がすっきりしてきます。
三つすべてをそろえなければいけない、という意味ではありません。傷みが少なく、まとまりに困っていない方であれば、乾かす前に一本つけるだけで足りていることもあります。反対に、カラーを繰り返していて毛先の傷みが気になる方は、補う工程を厚めにしたほうが手ざわりが安定します。役割の枠組みは、足すためではなく、自分に今どれが要るのかを見分けるために使ってください。

洗い流すものと、洗い流さないもの
売り場では「インバス」「アウトバス」という言葉で分けられていることがあります。お風呂の中で使うものと、お風呂を出てから使うものという意味です。この二つは、担当している役割が違います。
洗い流すトリートメントは「補う」係です
浴室で使い、時間を置いてから流すタイプは、主に補う役割を担当しています。髪の内側に働きかけることを想定してつくられているので、流してしまうともったいないように感じるかもしれませんが、流す前提の設計になっています。
使うときに差が出やすいのは、つける前の水気です。髪がびしょ濡れのままだと、残った水分に薄まって全体に行き渡りにくくなります。手で軽く水気をきってからつけると、少ない量でも毛先までなじみやすくなります。つける場所は、傷みが出やすい中間から毛先が中心です。根元にたっぷりつける必要はありません。洗う工程と乾かす工程の組み立て方はシャンプーの洗い方と乾かし方|大人の髪と頭皮を守る基本で順を追って整理していますので、あわせてご覧ください。
洗い流さないケアは「閉じ込める・守る」係です
タオルドライのあとにつけるタイプは、補ったものを閉じ込め、これから受ける負担から守る役割です。ドライヤーの熱、ブラシの摩擦、日中の乾燥。乾かす前につけるものは、この後に起きることへの備えだとお考えください。
ここでよくあるのが、乾いた髪だけにつけていて、乾かす前には何もつけていないというパターンです。乾かし終えてから表面を整えるのも役に立ちますが、負担が大きいのは乾かしている最中のほうです。順番として、先に守ってから乾かすほうが、髪への負担は少なくなります。熱の当て方そのものについては毎日のヘアアイロン、髪への負担は?温度と使い方の見直し方で温度と時間の考え方をまとめています。
オイル・ミルク・クリームは、質感で選び分けます
洗い流さないケアの中にも種類があります。名前の違いは、おおまかに言えば油分と水分の比率の違いです。ここを知っておくと、自分の髪に合うほうを選びやすくなります。
髪の状態から選ぶ
油分が多いものほど、表面を包んでまとまりを出す方向に働きます。逆に水分を含むものほど、髪をやわらかくしっとりさせる方向に働きます。硬くて広がりやすい髪はオイル寄り、細くてぺたんとしやすい髪はミルク寄り、という選び方が目安になります。
大人の髪でよくあるのが、根元はぺたんとするのに毛先は広がるという状態です。この場合、一本ですべてをまかなおうとすると、どちらかに合わなくなります。毛先には油分の多いものを、中間にはやわらかいものを、というように、場所ごとに変えるほうが実際は扱いやすくなります。一本で全体をまかなうという発想からいったん離れるだけで、選ぶときの迷いはかなり減ります。
もうひとつ、選ぶ基準として見落とされがちなのが、その日の仕上がりの好みです。同じ髪でも、きっちりまとめたい日と、ふんわりさせたい日があります。油分の多いものはまとまる方向に、少ないものは軽さが出る方向に働きますから、二種類を持っていて日によって使い分ける、という持ち方もあります。傷みの程度だけで一本に決めなければいけない、というものではありません。
つける量と、つける場所
量は、思っているより少なくて足ります。ショートからボブで一円玉ほど、肩より長い方で二円玉ほどを目安に、手のひらでよく伸ばしてから、毛先を握るようにつけていきます。手に残った分を中間になじませ、最後に表面をなでる。この順番だと、根元に余分がつきにくくなります。
つける場所で気をつけたいのは、根元と頭皮です。髪用としてつくられたものの多くは、毛髪につけることを想定しています。地肌にべったりつくと、べたつきの原因になりますし、洗い落とすために洗浄を強めることにもつながります。頭皮のケアをしたいときは、頭皮用として売られているものを選ぶ。売り場が同じでも、用途は分かれています。
量が合っているかどうかは、次の日の朝に分かります。乾かした直後はちょうどよく感じても、翌朝に根元が重い、枕についた感じがするというときは、少し多いか、つける位置が根元寄りになっているかのどちらかです。減らすときは思いきって半分にしてみてください。少なすぎれば毛先がぱさつくのですぐ分かりますから、そこから足していくほうが、自分の適量にたどり着くのは早くなります。
重ねすぎているときのサイン
よかれと思って足していった結果、かえって扱いにくくなることがあります。見分けるためのサインをいくつか挙げておきます。
髪が重く、べたつくとき
朝はまとまっていたのに昼過ぎには束になる、洗ってもすぐに根元がぺたんとする。こうしたときは、量を増やすより、いったん減らして様子を見るほうが早く整います。一度に全部やめるのではなく、いちばん最後につけているものを三日ほど休んでみる。それで軽くなるようなら、その一本が余分だったということです。
減らす順番に迷ったら、同じ役割が重なっているところから外します。オイルとクリームを両方つけているなら、まずどちらかだけにしてみる。役割で整理しておくと、こうした引き算の判断もしやすくなります。
頭皮に不調を感じたとき
髪の手ざわりの話とは別に、頭皮のほうに変化が出ることもあります。かゆみやフケが気になるときは、つけるものを足す前に、洗う工程と落としきれているかを先に見直してみてください。順番の考え方は頭皮のかゆみ・フケが気になるときに見直したいケアの順番で整理しています。
そのうえで、次のような状態に心当たりがあるときは、自分で製品を替えて試し続けるより、一度専門機関に見てもらうほうが確実です。
製品を替えながら様子を見る期間が長引くほど、何が影響しているのかは分かりにくくなります。合わないと感じたものは早めに使用を中止して、皮膚科などへ相談してください。
美容師の現場から

覚えておくのは、商品名ではなく役割です
ケア用品は次々に新しいものが出てきますし、売り場の分類も店によって変わります。そのたびに覚え直すのは大変ですが、補う・閉じ込める・守るという三つの役割で見る目を持っておけば、初めて見る製品でも、自分の棚のどこに入るものかが判断できます。足すべきか足さざるべきかも、そこから決められます。
新しいものを試すこと自体は、悪いことではありません。ただ、替えるときに二つ同時に替えてしまうと、合っていたのがどちらだったのかが分からなくなります。一度に替えるのは一つまでにして、二週間ほど様子を見る。手間のようですが、この進め方のほうが、結果として無駄になる本数は少なくなります。
そして、つけるものと同じくらい、乾かし方や量といった使い方の部分が結果に関わってきます。うまくいかないと感じたときは、まず引き算から試してみてください。もし頭皮に症状を伴う変化があるときや、抜け毛の量の変化が気になるときは、ケア用品の選び直しではなく、皮膚科や専門のクリニックへの相談を検討していただければと思います。髪の手ざわりの話と、頭皮の状態の話は、分けて考えるほうが答えにたどり着きやすくなります。
よくある質問
- Q.洗い流すトリートメントと、洗い流さないものは両方使うべきですか?
- A.役割が違うので、両方使うという考え方もありますし、どちらか一方で足りている方もいらっしゃいます。判断の目安は、乾かしたあとの手ざわりです。乾かし終えた髪が硬く感じるなら洗い流すほうを、乾かしたあとに広がったり毛先がぱさついたりするなら洗い流さないほうを見直してみてください。両方を毎日きっちり使わなければいけないというものではありません。
- Q.ヘアオイルは髪が濡れているときと乾いてから、どちらにつけるのがよいですか?
- A.目的によって変わります。乾かす前につけるのは、ドライヤーの熱や摩擦から守る目的です。乾いてからつけるのは、表面を整えてまとまりを出す目的になります。両方の場面でつける場合は、それぞれの量を少なめにしてください。同じ量を二回つけると重くなりやすくなります。
- Q.トリートメントを長く置くほどよく効きますか?
- A.製品ごとに想定された時間があり、それを大きく超えて置いても、その分だけ変化が積み重なるという性質のものではありません。パッケージに書かれている目安に沿うのがおすすめです。それよりも、水気をきってからつける、毛先を中心につける、といった使い方の部分のほうが、手ざわりの違いとして表れやすい印象があります。
- Q.ケア用品を替えたのに手ざわりが変わりません。何を見直せばよいですか?
- A.つけるものより先に、乾かし方を見直してみてください。自然乾燥のまま長く置く時間が多いと、何をつけても手ざわりは安定しにくくなります。また、髪がびしょ濡れのままつけていると、水分に薄まって全体に行き渡りにくくなります。タオルドライの度合いと乾かす順番は、製品選びと同じくらい結果に関わってきます。
- Q.頭皮にもトリートメントをつけたほうがよいですか?
- A.髪用として売られているトリートメントやオイルの多くは、毛髪につけることを想定してつくられています。頭皮につけることを前提にした製品はそのように書かれていますので、表示を確認してからお使いください。頭皮のケアをしたい場合は、頭皮用として売られているものを選ぶほうが、目的と製品が合致します。
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