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夏の終わりに抜け毛が気になるとき|季節と髪の変化の見方

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夏の終わりの窓辺で自分の髪にそっと触れながら変化を確かめる大人女性を描いた水彩イラスト風のアイキャッチ

夏の終わりが近づくと、洗面台の排水口や、朝の枕元に目が行くようになる。そんな方は少なくありません。暑さが一段落して、そろそろ秋の服を出そうかという時期になると、髪のことが急に気にかかってくる。サロンでも、この季節になると「抜け毛が多い気がするんです」というお話をよく伺います。

季節の変わり目だから、と自分に言い聞かせる方もいれば、去年もこうだっただろうかと不安になる方もいらっしゃいます。実際のところ、抜ける量に季節による差があること自体は、専門の学会の解説の中でも触れられています。ただ、それをどう受け取るかで、その後の過ごし方は変わってきます。この記事では、季節と抜け毛の関係をどこまで手がかりにしてよいのか、そして秋に向けて今日から整えられることを、順を追って整理していきます。

季節で量が動くことはあります。ただ、季節だけでは説明しきれません

先に要点をお伝えします。抜ける量に季節の差があることは、専門機関の解説にも触れられています。けれど「秋だから」で片づけてしまうと、見ておきたい変化を見落とすことがあります。季節は手がかりの一つとして持っておき、判断は数か月の流れで行う。これが現実的な向き合い方です。

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、抜け毛の量について「一日に抜ける毛の量は、個人差、季節差、ヘアケアの仕方などもよりますがおおよそ一日100本程度までといわれています」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q1「毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?」)。ここで注目したいのは、季節差が個人差やヘアケアの仕方と並んで挙げられている点です。季節は要素の一つとして書かれているのであって、季節が主役だとは述べられていません。

つまり「秋は抜けるものだから」という説明は、半分は当たっていて、半分は足りていない、ということになります。安心の材料として持っておくのはよいのですが、そこで思考を止めてしまうと、別の変化が重なっていた場合に気づくのが遅れます。季節を理由として使うのではなく、条件の一つとして数えておく。その距離感を保っておくと、落ち着いて見られるようになります。

季節による抜け毛の変化を見るときに一日単位で比べず数か月の流れで判断する3つの手順を示した図解

髪が抜けるまでに、何が起きているのか

季節の話に入る前に、髪が抜けるという出来事そのものを整理しておきます。仕組みを知っておくと、日によって量が違うことの受け取り方が変わります。

髪は一本ずつ、別々の周期で動いています

同じQ&Aは、毛の生え変わりについて詳しく説明しています。頭髪は約10万本あるとされ、そのうち大部分が伸びている段階にあること、その段階を「成長期」と呼ぶことが述べられています。原文では、成長期の毛包が占める割合について「そのほとんど(約85−90%)が「伸びる毛」です」と記されています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q1)。

大切なのは、この周期が髪一本ずつ独立して進んでいるということです。全部が同じタイミングで動いているわけではないので、たまたま抜ける段階に入った毛が同じ日に重なれば、その日に目に入る量は多くなります。逆の日もあります。日ごとの上下は、それ自体が異常を意味するものではありません。

抜けるのは、次の準備ができたとき

もう一つ知っておきたいのが、抜けるまでの時間です。Q&Aには「休止期は2−3ヶ月あり、通常、次の成長期に入る準備ができると毛が抜けます」という記述があります(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q1)。休む期間があって、その先で抜けるという順序です。

ここから分かるのは、髪に関わる出来事と、目に見える変化とのあいだには時間の隔たりがあり得るということです。だからこそ、今週の抜け毛を今週の出来事に結びつけて考えても、答えは出にくいのです。見るのは週単位ではなく、月単位。この感覚を持っておくだけでも、鏡の前での気持ちの上下はずいぶん落ち着きます。

夏のあいだ、髪と頭皮に重なっていたこと

そのうえで、夏という季節に何が重なっていたのかを振り返ってみます。ここは医学的な因果の話ではなく、生活の中で実際に起きていたことの確認としてお読みください。

日差しと汗の季節でした

頭皮は、体の中でいちばん上を向いている面です。顔や腕には日焼け止めを塗る方でも、頭のてっぺんまで気にかけている方は多くありません。分け目の地肌が出ている部分は、そのまま日差しを受け続けていたことになります。

汗もかきました。汗をかけば洗う回数や洗い方も変わりますし、暑さから洗ってすぐ扇風機の前で自然乾燥、という日もあったかもしれません。一つひとつは小さなことですが、三か月ぶんとなると、髪と頭皮が置かれていた条件は春とはずいぶん違っていたはずです。

生活のリズムも動いていました

夏は、生活の形が変わりやすい季節でもあります。寝苦しくて眠りが浅かった、冷たいものが中心で食事が簡単になっていた、外の暑さと室内の冷房のあいだを行き来していた。ご家族の予定に合わせて、ご自身の時間が後回しになっていた方もいらっしゃるでしょう。

こうした変化は、髪だけに起きていたことではありません。体全体の調子と地続きのものです。秋に髪のことが気になり始めたとき、髪だけを見て原因を探すより、この数か月の暮らし方を思い返してみるほうが、心当たりが見つかることがあります。

それでも、原因を夏に決めてしまわない

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。夏に思い当たることがあると、人はそこで納得したくなります。「今年は暑かったから」「寝不足が続いたから」。理由が見つかると気持ちは落ち着きますが、その落ち着きが、確かめる機会を先送りにしてしまうことがあります。

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、女性型脱毛症について「男性ホルモンの影響に関して明確なデータはなく、女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q8「女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?」)。専門の学会が、理由を一つに定めない書き方をしているということです。であれば、私たちが季節という一つの理由で説明を終えてしまうのは、少し急ぎすぎかもしれません。

季節も、暮らしの変化も、手がかりとしては十分に意味があります。ただ、それらは「答え」ではなく「材料」です。材料をいくつか手元に置いたまま、変化の続き方を見ていく。その姿勢のほうが、結果的に判断を誤りにくくなります。

秋に向けて、今日から整えられること

では、この時期に何をしておくとよいのでしょうか。特別なことは必要ありません。負担を減らすことと、比べられる形を残しておくこと。この二つです。

洗う前と乾かすところを見直す

夏のあいだに崩れやすいのが、洗い方と乾かし方です。汗が気になって洗浄力の強いものに替えていた方、暑さで乾かしきらずに寝てしまった日が続いた方は、まずここを元に戻すところから始めてみてください。

具体的には、シャンプー前にぬるま湯で一分ほど流すこと、指の腹で頭皮を動かすように洗うこと、夜のうちに根元から乾かしきること。この三つが土台になります。手順をひととおり確認したい方はシャンプーの洗い方と乾かし方|大人の髪と頭皮を守る基本にまとめていますので、あわせてご覧ください。

夏の終わりは、頭皮のかゆみやフケが気になり始める方も多い時期です。そちらが重なっている場合の見直す順番は頭皮のかゆみ・フケが気になるときに見直したいケアの順番で整理しています。

比べられる形にして残しておく

もう一つが記録です。季節による差なのかどうかを確かめるには、比べる相手が必要になります。そして比べる相手として使えるのは、去年の記憶ではなく、同じ条件で残した記録のほうです。

やり方はごく簡単で、同じ場所・同じ明るさで、分け目とつむじと生え際を月に一度撮っておくだけです。今日から始めれば、年末には三か月ぶんの比較ができます。撮り方や書き添えておくとよいことは抜け毛が増えた気がするとき|変化の見方と記録のしかたで詳しく扱っていますので、何から手をつけるか迷う方はそちらを参考にしてみてください。

記録の良いところは、どちらの結果になっても役に立つ点です。変わっていなければ安心できますし、変わっていればそれは相談に持っていける材料になります。

季節という説明で片づけないほうがよい場合

一方で、季節を理由にして様子を見続けないほうがよい状態もあります。次のような点に心当たりがある場合は、時期の問題として扱わずに、専門機関へ相談することを検討してみてください。

相談することを、大げさな決断だと考える必要はありません。今の状態を見てもらい、これからどうするかを決めるための材料を受け取る場でもあります。相談先をどう選ぶかについては女性の薄毛は何科に相談する?皮膚科と専門クリニックで、皮膚科と専門クリニックそれぞれの特徴を整理しています。

美容師の現場から

秋に向けて洗い方の見直し・乾かしきる習慣・月一度の記録という3つの整え方を並べた図解

季節は、答えではなく手がかりとして

夏の終わりに髪のことが気にかかるのは、この時期ならではの自然な流れです。抜ける量に季節の差があること自体は、専門機関の解説の中にも書かれています。ですから、季節を気にすること自体は間違っていません。

大切なのは、そこで説明を終わらせないことです。季節は数ある条件の一つであって、答えそのものではありません。洗い方と乾かし方を元のリズムに戻し、同じ条件の記録を月に一度残しておく。それだけで、この秋の不安は「確かめられる対象」に変わります。

そして、頭皮に症状を伴うとき、変化が三か月ほど続いているときは、季節という説明で先送りにせず、皮膚科や女性の薄毛を扱う専門のクリニックへ相談してください。何もなければ、それを聞けたこと自体に意味があります。季節と付き合いながら、確かめるところは確かめる。その両方を持っておくことが、これから先も髪と穏やかに向き合っていくための土台になります。

参考にした情報

よくある質問

Q.秋になると抜け毛が多くなるというのは本当でしょうか?
A.日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、一日に抜ける毛の量について個人差や季節差、ヘアケアの仕方などによると説明しています。季節によって差があること自体は解説の中に触れられています。ただし、どの季節にどれだけ動くという具体的な数字が示されているわけではありません。季節は手がかりの一つとして持っておき、それだけで判断しないという構えがちょうどよいと思います。
Q.夏に紫外線を浴びたことが、秋の抜け毛につながっているのでしょうか?
A.そう言い切れる根拠を、私の立場からお示しすることはできません。日焼けを避ける工夫そのものには意味がありますが、秋に感じた変化の理由を夏の紫外線だと特定するのは別の話です。髪の変化には複数の要素が重なるため、一つの出来事に結びつけて納得してしまうと、他に見ておきたい点を見落とすことがあります。
Q.去年の秋と比べて多い気がしますが、どう確かめればよいですか?
A.記憶どうしを比べるのは、実はとても難しいことです。去年の印象は今の不安に引きずられて変わりますし、髪の長さや洗う頻度が変われば目に入る量も変わります。確かめたいのであれば、今日から同じ条件で写真を残しておくのが確実です。三か月後には、記憶ではなく形の残った材料で比べられるようになります。
Q.季節のものだと思って様子を見ていて大丈夫でしょうか?
A.頭皮に赤みやかゆみなどの症状がなく、数日単位で量が上下している程度であれば、しばらく様子を見る判断はあり得ます。一方で、三か月ほど続いている、分け目や生え際の見え方が変わってきた、地肌が円形に見える部分があるという場合は、季節という説明で片づけずに皮膚科や専門のクリニックへ相談することを検討してください。
Q.秋のあいだ、シャンプーの回数を減らしたほうがよいですか?
A.抜けるのが心配で洗う回数を減らす方がいらっしゃいますが、洗わずにいても抜ける準備の整った毛はいずれ抜けます。かえって頭皮に汚れが残る時間が長くなることもあります。基本は一日一回、夜のうちに洗って乾かすリズムを保つほうが、頭皮の環境を整えやすくなります。

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