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女性の薄毛は遺伝で決まる?母親や祖母の髪との関係の見方

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母と娘の髪をやわらかく描いた、女性の薄毛と家族歴をテーマにした水彩イラスト風のアイキャッチ

洗面台に落ちた髪を見たとき、ふと母や祖母の髪を思い出したことはありませんか。分け目のあたりが少し寂しくなってきた母を見て、「自分もいずれこうなるのだろうか」と考えてしまう。髪のご相談をいただく中で、こうしたお話をうかがうことは少なくありません。家族の髪は、自分の少し先の未来のように見えてしまうことがあります。

「女性の薄毛は遺伝するのか」という問いは、検索されることの多いテーマです。ただ、この問いに「する」「しない」の二択で答えるのは、実はあまり正確ではありません。この記事では、公的な情報でどこまで説明されているのかを確認しながら、家族の髪との落ち着いた向き合い方と、今の自分にできることを整理していきます。

髪の変化は、家族歴だけで決まるわけではありません

先にお伝えしたい結論は、家族に髪の悩みを持つ方がいることは、自分の髪の将来を決めてしまうものではないということです。参考になる情報のひとつではありますが、それだけで先行きが定まるわけではありません。

公的な情報は「様々な理由」と説明しています

女性の髪の変化について、公的な情報はどのように説明しているでしょうか。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、女性型脱毛症について「男性ホルモンの影響に関して明確なデータはなく、女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q8「女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?」)。

ここで目を留めたいのは「様々な理由」という部分です。男性の脱毛症については男性ホルモンの関与が明らかであるのに対し、女性の場合はそこまで単純な説明になっていません。ひとつの要素で説明しきれないという前提が、専門の学会の側から示されているわけです。

つまり、「母が薄いから自分もそうなる」という一本道の説明は、現時点で公的に裏づけられているものではない、ということになります。家系の中に髪の悩みを持つ方がいることは事実として受け止めつつ、そこから将来を確定させてしまう必要はありません。

家族歴は「結論」ではなく「材料」

とはいえ、家族歴にまったく意味がないという話でもありません。医療機関で相談するとき、家族の状況は問診で聞かれることのある項目のひとつです。大切なのは、それを不安の材料ではなく、判断のための材料として扱うという視点の置き方です。

「気にしすぎなくてよい」と「無視してよい」は違います。家族の髪を思い出して不安になったなら、その気持ちを打ち消すのではなく、自分の髪の今の状態を見るきっかけに変えていく。そのほうが、先の見えない不安を抱え続けるよりずっと現実的です。

家族と髪が似て見える背景を、髪質の土台・暮らし方の共通点・年齢による変化の3つに分けて整理した図解

家族と髪が似て見えるのは、なぜでしょうか

親子や姉妹で髪が似ている、という実感を持つ方は多いと思います。この「似ている」の中身を少し分けて考えてみると、家族歴との距離の取り方が見えやすくなります。

受け継がれやすいのは、髪質という土台

毛の太さ、くせの出方、髪全体の量の多い少ない、生え際やつむじの形。こうした髪そのものの性質は、家族のあいだで似ていることがよくあります。もともと細めの髪質の家系、しっかりした太さの家系というように、土台の部分に共通点があるケースは現場でもよく目にします。

ただし、髪質が似ていることと、将来の髪の変化が同じようにたどることは、同じ話ではありません。細い髪質であることは、その人の個性としての出発点であって、この先の変化まで含んだ予告ではないからです。

暮らし方も、家族のあいだで似ていきます

見落とされがちなのが、生活習慣の共通点です。同じ家で育てば、食事の内容も、寝る時間も、入浴やシャンプーの習慣も自然と似てきます。髪の結び方やドライヤーのかけ方といったケアの癖まで、母から娘へ受け継がれていることは珍しくありません。

家族で似ているように見える髪の状態が、どこまでが体質で、どこからが暮らし方の積み重ねなのか。これを外から切り分けるのは簡単ではありません。だからこそ、「家族が同じだから自分も同じ」と考える前に、自分の暮らし方の中に見直せる部分がないかを見るほうが、手がかりとしては確かです。

年齢による変化は、家系に関係なく訪れます

もうひとつ重ねて考えたいのが、年齢とともに起こる髪の変化です。髪が細くなる、ハリやコシが以前と違う、といった変化は、家族歴の有無とは別に、多くの方が経験するものです。この仕組みについては年齢とともに髪が細くなるのはなぜ?ヘアサイクルの基礎で整理していますので、あわせてご覧ください。

母の髪の変化を見て自分の未来を重ねたとき、そこには家系の要素だけでなく、年齢による自然な変化も混ざっています。この二つを分けて考えられると、必要以上に重く受け止めずに済みます。

変えられないことと、見直せること

家族歴や体質は、自分の意思で選べるものではありません。ただ、髪をとりまく要素のすべてが選べないわけではない、というのがこの話の大事なところです。

髪と頭皮にかかる日々の負担は、見直せます

いつも同じ位置できつく結んでいる、ヘアアイロンを高温で毎日使っている、カラーの間隔が詰まっている。こうした日々の積み重ねは、家族歴とは別に自分で調整できる部分です。特に生え際や分け目は、まとめ髪の結び方によって毎日同じ場所に負担がかかりやすい場所でもあります。

「遺伝だから仕方ない」と考えてしまうと、こうした見直せる部分まで一緒に手放してしまいます。変えられないものがあることと、できることがないことは、まったく別の話です。

洗い方・乾かし方は、いちばん頻度の高い習慣です

毎日繰り返すシャンプーとドライヤーは、髪と頭皮に触れる回数がもっとも多い時間です。頻度が高いぶん、やり方の癖が積み重なりやすい部分でもあります。力の入れ方や乾かし残しといった細かな点は、意識するだけで変えられます。

もうひとつ見直しやすいのが、乾かすタイミングです。自然乾燥のまま眠る習慣が続いていると、頭皮が湿ったままの時間が長くなります。時間のない日でも根元だけは先に乾かしておく、といった小さな調整であれば無理なく続けられるはずです。

特別なことを増やすより、すでに毎日やっていることの質を整えるほうが、続けやすく負担も少なくて済みます。

変化を記録しておくと、後で役に立ちます

もし将来的に医療機関で相談することになったとき、「いつ頃から、どんなふうに変わってきたか」を自分の言葉で説明できると、話が進めやすくなります。抜け毛の量や分け目の見え方を写真やメモで残しておく方法は抜け毛が増えた気がするとき|変化の見方と記録のしかたにまとめています。

家族歴が気になっているなら、それを不安として抱えたままにするより、記録という形に変えておくほうが建設的です。記録は、相談するときにも、相談しないと決めるときにも役に立ちます。

家族歴は、相談するときの手がかりになります

家族に髪の悩みを持つ方がいることは、医療機関で伝えておくとよい情報のひとつです。問診では、変化に気づいた時期、体調や服薬の状況、生活環境の変化などとあわせて話を聞かれることがあります。家族の状況も、そうした材料のひとつとして扱われます。

不安の種として一人で抱えているうちは、家族歴はただ気持ちを重くするだけの情報です。けれど専門家に渡す材料として持っていけば、判断の役に立つ情報に変わります。同じ事実でも、どこに置くかで意味が変わってきます。

伝える内容としては、家族の状況に加えて、変化に気づいた時期、産後や更年期といった体調の節目と重なっていないか、服用している薬があるかどうかといった点が手がかりになります。その場で思い出そうとすると抜けが出やすいので、短いメモにまとめてから出かけると落ち着いて話せます。

相談先としては、皮膚科と女性の薄毛を扱う専門クリニックが選択肢になります。それぞれ得意とする範囲や進め方に違いがあるため、女性の薄毛は何科に相談する?皮膚科と専門クリニックで違いを確認してから選ぶと迷いにくくなります。

家族歴が気になるときに、記録する・習慣を見直す・専門家に相談するという3つの進め方を並べた図解

美容師の現場から

不安を先取りせず、今の髪から始める

女性の髪の変化について、公的な情報は「様々な理由により生じている場合が多い」という説明にとどめています。家族歴は参考になる情報のひとつではあっても、これからを決めてしまうものではありません。母や祖母の髪と自分の髪は、似ている部分もあれば、違う道筋をたどる部分もあります。

気になったときにできるのは、今の髪の状態を見て、記録して、見直せる習慣から手をつけることです。そのうえで気になる状態が続くようであれば、専門の医療機関に相談するという選択肢があります。先の不安を先取りするより、目の前の髪に向き合うほうが、結果として穏やかに過ごせるはずです。

参考にした情報

よくある質問

Q.母が薄毛だと、自分も同じようになりますか?
A.同じ経過をたどると決まっているわけではありません。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、女性型脱毛症について『女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています』と説明されており、家族歴だけで先行きが定まるという説明はされていません。参考になる情報のひとつとして受け止めるくらいがちょうどよい距離感です。
Q.遺伝が関係している場合、ケアをしても意味がないのでしょうか?
A.そんなことはありません。髪や頭皮にかかる日々の負担、洗い方や乾かし方、髪の結び方といった要素は、家族歴とは別に自分で見直せる部分です。変えられない要素があるからといって、見直せる部分まで手放す必要はありません。
Q.父方と母方、どちらの影響が強いのでしょうか?
A.女性の場合、どちらか一方で説明できるとする公的な情報は見当たりません。女性型脱毛症の原因については明確なデータがない部分も多いと説明されている段階のため、家系のどちら側かを気にするより、今の自分の髪と頭皮の状態を見るほうが現実的です。
Q.家族に髪の悩みを持つ人がいることは、クリニックで伝えたほうがよいですか?
A.伝えておくとよい情報のひとつです。医療機関では、いつ頃からどんな変化があったか、体調や服薬の状況などとあわせて話を聞かれることがあります。家族の状況も、判断材料のひとつとして参考にしてもらえる場合があります。
Q.何歳ごろから気をつけておけばよいでしょうか?
A.年齢で一律に決まるものではありません。産後や更年期前後など、体調が大きく変わる時期に髪の変化を感じる方もいれば、そうでない方もいます。年齢を基準にするより、自分の髪の見え方や抜け毛の量が以前と変わってきたと感じたときが、見直しのタイミングになります。

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