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白髪を抜くのはよくない?頭皮への負担と抜かずに整える方法

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鏡の前で白髪を見つけ、抜かずにどうするか考える大人女性をやわらかく描いた水彩イラスト風のアイキャッチ

洗面所の鏡をのぞいたとき、顔まわりに一本だけ光る白髪が目に入る。ほかの部分は気にならないのに、その一本だけがやけに主張して見える。気がついたときには指でつまんで、抜いてしまっていた。そんな経験のある方は、きっと少なくないと思います。抜いてしまえばその場では見えなくなりますし、道具もいりません。手っ取り早い方法ではあるのです。

ただ、抜いたあとに小さな引っかかりが残ることもあります。抜くのはよくないと聞いた気がするけれど、何がどうよくないのかは説明できない。数本のうちは抜いて済ませてきたけれど、この先もずっとこのやり方でいいのだろうか。この記事では、白髪を抜いたときに頭皮の側で何が起きているのかを整理したうえで、抜かずに目立たなくする方法と、抜け毛の不安が重なってきたときにどこで線を引けばよいのかをお伝えします。

抜くのをやめて、切るか染めるかに置き換えます

先に要点からお伝えします。白髪への対処として、抜くという方法は選ばないでいただきたいというのが、現場に立つ者としての率直なお願いです。理由は単純で、一本抜いたところで白髪の悩みそのものが軽くなるわけではないのに、頭皮には毎回力がかかるからです。得られるものと差し出すもののつり合いが取れていません。

では代わりに何をするか。現実的な選択肢は二つあります。ひとつは根元ぎりぎりで切ること、もうひとつは気になる範囲だけを染めることです。本数がまだ少ないうちは切るだけで十分に対応できますし、目につく範囲が広がってきたら染めるほうへ切り替えていく。この二段構えを持っておくと、白髪を見つけるたびに指が伸びてしまうという習慣から、少しずつ離れていけます。

そしてもうひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。抜いていた場所の地肌が気になる、あるいは白髪とは別に抜け毛そのものが増えたように感じる。そこまで来ているのであれば、ご自身で原因を突きとめようとせずに、皮膚科で見てもらうという道があります。この記事の後半では、その線引きについても触れます。

白髪を抜かずに整える3つの方法を切る・染める・ぼかすの順に示した図解

白髪を一本抜いたとき、頭皮では何が起きているのか

抜くという動作そのものは一瞬で終わります。けれど、そのあいだに頭皮の側では、髪が一本なくなる以上のことが起きています。まずはそこを見ておきましょう。

引っ張られているのは、毛だけではありません

髪の毛は、頭皮の中にある毛穴に収まった状態で保たれています。指でつまんで引き抜くとき、その力は毛そのものだけでなく、毛を包んでいる周りにも同時にかかります。抜いた毛の根元に、白っぽいふくらみや透明な膜のようなものがついてくることがありますが、あれは毛だけを取り出したわけではないということを示しています。

一本を抜くのにかかる力は、たしかにわずかなものです。強く引っ張ったつもりもないでしょう。ただ、白髪を抜く方の多くは、一本では終わりません。鏡の前で気になる毛を探し、見つけては抜き、また探す。その繰り返しの中で、同じ範囲に何度も力が加わっていくことになります。

学会は「毛を抜くこと」をどう説明しているか

日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aには、毛を抜く癖について扱ったページがあります。そこでは「抜毛癖は機械的な刺激による脱毛症であり、毛を抜くことがなくなれば自然に治っていきますので、ステロイド外用剤や育毛剤などを塗る必要は全くありません」と説明されています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q15「毛を抜く癖がありますが脱毛症になりますか?」)。

ここで扱われているのは、無意識のうちに繰り返し抜いてしまう状態のことです。白髪を見つけたときに数本抜くことが、そのままこれにあたるわけではありません。ご自身を当てはめて不安になる必要はありませんので、そこは混同しないでいただきたいと思います。

そのうえで目を向けたいのは、毛を抜くという行為が「機械的な刺激」として位置づけられている点です。薬剤でも熱でもなく、物理的な力として扱われている。この見方は、白髪を抜く場面にもそのまま持ち込んで考えることができます。カラー剤やアイロンの熱は気にするのに、指で引き抜く力だけは負担として数えていなかった、という方は案外多いのではないでしょうか。

白髪は同じ場所に出やすいという事情があります

もうひとつ、白髪ならではの事情があります。白髪が気になり始める場所は、こめかみ、生え際、分け目のあたりというように、人によってだいたい決まっています。つまり抜くという対処を選び続けると、たまたま散らばった場所ではなく、限られた同じ範囲に力が重なっていくことになります。

一回ごとの力が小さくても、同じところに何度も加わるかどうかで話は変わってきます。しかも抜く動作は、染めた日やアイロンを使った日と違って、いつ何本抜いたのかが記憶に残りません。気づいたときには同じ範囲ばかりを触っていた、ということが起こりやすいのはそのためです。ご自分の癖がどのあたりに集中しているかは、短い毛が立っている場所を鏡で探してみると見当がつきます。

抜かずに済ませる三つの方法

ここからは、実際に何をするかという話です。どれも今日から切り替えられるものばかりです。

根元ぎりぎりで切る

本数がまだ数えられるくらいなら、これがいちばん手軽です。気になる一本を見つけたら、抜くかわりに頭皮から数ミリのところでハサミを入れます。地肌にハサミを当てないよう、毛を少し起こしてから切ってください。

切ると短い毛が立って気になるのでは、と心配される方がいますが、抜いた場合も同じことです。抜いたあとに出てくる毛は、やはり短い状態から伸びていきます。どちらを選んでも短い毛は生じますので、そこは差になりません。それなら頭皮に力をかけない切るほうを選ぶ、という考え方です。最初は分け目の内側など、表面から見えにくい位置で試してみると気が楽だと思います。

気になる範囲だけを染める

鏡を見るたびに目に入る、根元の白い部分が線のように見える。そこまで来たら、染めるほうへ切り替える段階です。ただし全体を染め直す必要はありません。生え際や分け目など、実際に気になっている範囲だけを染めるという方法があります。

染め方には塗るタイプ、その場で隠すタイプなど幅があり、頭皮への触れ方もそれぞれ違います。何を基準に選べばよいかは白髪が気になってきたら|染め方の選択肢と頭皮にやさしい選び方で選択肢ごとに整理していますので、迷っている方はそちらを参考にしてください。

一点だけ添えておきます。日本皮膚科学会は抜け毛を防ぐ生活上の注意として「髪に負担のかかるような髪型や極端に頻回のカラーリングはなるべく避けましょう」と述べています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q18「抜け毛を防ぐ生活上の注意点はあるでしょうか?」)。抜くのをやめる代わりに染める回数が増えすぎては、負担の置き場所が移っただけになってしまいます。本数が少ないうちは切って対応し、染めるのは必要になってからで間に合います。

境目をぼかして目立たなくする

白髪の量がある程度まとまってきて、根元が伸びるたびに染め直す間隔の短さのほうが負担になっている。そんな段階では、単色で塗りつぶす以外の考え方もあります。明るさの差を使って境目をなじませておくと、伸びてきたときの白い線が目立ちにくくなり、染める頻度そのものを下げやすくなります。

この方法は髪質や今の色によって向き不向きがありますので、続けやすさも含めて美容室で相談してから決めるのが確実です。染める間隔そのものをゆるめたい方に向いている考え方だとお伝えしています。

白髪と抜け毛の不安が重なってきたとき

白髪の相談を伺っていると、途中から話題が抜け毛のほうへ移っていくことがよくあります。両方が同時に気になる時期というのは、実際にあるのだと思います。ここからは、その重なりをどう扱うかという話です。

自分で見分けようとしなくて大丈夫です

抜いていた場所の地肌が目立つ気がする、部分的に薄くなった感じがする。そう思ったとき、原因が何なのかをご自身で突きとめようとする方が多いのですが、ここは無理をしなくてよいところです。

先ほどの皮膚科Q&Aは「抜毛癖は、しばしば円形脱毛症と区別するのが難しい場合がありますので、きちんと診断をうけるために皮膚科専門医の診察を受けていただくことをお勧めします」とも述べています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q15)。専門医でも区別が難しい場合があると書かれているのですから、鏡を見ながらご自身で判断しようとしても答えは出ません。見分けることではなく、見てもらうことのほうへ切り替えていただければと思います。

変化は記録として残しておく

もうひとつ、相談する前にできることがあります。今の状態を記録として残しておくことです。気になり始めると、そこばかりを見てしまい、実際よりも変化を大きく感じてしまうことがあります。逆に、少しずつ進んだ変化には気づきにくいという面もあります。

難しいことは必要ありません。同じ場所を、同じ明るさのところで、月に一度撮っておく。それだけで、数か月後に比べられる材料になります。撮り方や見方の具体的なところは抜け毛が増えた気がするとき|変化の見方と記録のしかたにまとめてありますので、何から始めるか迷う方はそちらをご覧ください。手元に事実があると、相談に行ったときの話も早く進みます。

こうした状態にあてはまるときは、セルフケアの範囲で抱えずに、皮膚科や女性の髪の悩みを扱うクリニックで相談することを検討してみてください。どこへ行けばよいか迷ったときは女性の薄毛は何科に相談する?皮膚科と専門クリニックで、それぞれの窓口の違いを整理しています。受診したからといって、その場で何かを始めることが決まるわけではありません。今の状態を確かめて、次にどうするかを考えるための材料をもらう。そのくらいの気持ちで足を運んでいただければ十分です。

美容師の現場から

白髪と抜け毛の不安が重なったときに確かめる順番を示した図解

一本の白髪との付き合い方は、今日から変えられます

白髪を抜いても、その一本が見えなくなるだけで、悩みそのものは何も軽くなりません。それでいて頭皮には毎回力がかかり、しかも力の集まる場所は限られた同じ範囲になりがちです。日本皮膚科学会が毛を抜くことを「機械的な刺激」として説明しているように、これは薬剤や熱と並べて考えてよい負担です。

置き換え先は難しいものではありません。本数が少ないうちは根元ぎりぎりで切る、気になる範囲が広がってきたら必要なところだけを染める、伸びるたびの染め直しが負担になってきたら境目をぼかす。この順番を持っておけば、白髪を見つけるたびに指が伸びる、ということは少なくなっていきます。

そのうえで、抜いていた場所の様子が気になる、抜ける量そのものが変わってきた、という段階に来ているのであれば、ご自身で見分けようとせず、皮膚科や専門のクリニックの力を借りてください。専門医でも区別が難しいことがあると書かれている領域です。白髪との付き合いはこれから先も続いていくものですから、無理のない方法を、そのときどきで選び直していけば大丈夫です。

参考にした情報

よくある質問

Q.白髪を抜くと本数が増えていく、というのは本当ですか?
A.一本抜くとそこから何本も出てくる、という説明を見かけることがありますが、そう言い切れる根拠を公的な資料の中に見つけることはできませんでした。ですので、この記事では本数の話については断定しません。お伝えできるのは別のことです。抜いても白髪の悩みそのものは軽くなりませんし、そのぶん頭皮には毎回力がかかります。増えるかどうかを心配するより、抜く以外の方法に置き換えていくほうが実際的だと思います。
Q.これまで何本も抜いてきてしまいました。大丈夫でしょうか?
A.これまでのことを悔やむ必要はありません。多くの方が同じようにされていますし、数本抜いたことで取り返しがつかなくなるという話ではないためです。今日から抜かない方法に切り替えていただければ十分です。ただ、抜いていた場所に赤みやひりつきが残っている、地肌の見え方が以前と変わってきたという場合は、様子を見るより一度皮膚科で見てもらってください。
Q.根元で切ると、短い毛が立ってしまいませんか?
A.たしかに切った毛は短く残りますが、抜いたあとに出てくる毛も、同じように短い状態から伸びていきます。どちらにしても短い毛は生じますので、そこは大きな差になりません。切るときは頭皮から数ミリのところで、地肌にハサミを当てないようにしてください。分け目の内側など、表面から見えにくい位置から始めると気になりにくいと思います。
Q.白髪が数本のうちから染めたほうがよいですか?
A.本数が少ないうちは、染めるより切るほうが手間も負担も少なく済みます。染めるかどうかを考えたいのは、鏡を見るたびに気になる、根元の白い部分が線のように見える、という段階に入ったときです。日本皮膚科学会も頻繁なカラーリングは避けるよう述べていますので、早く始めるほどよいというものではありません。気になる範囲が広がってきてからで間に合います。
Q.抜いた場所の地肌が目立つ気がして不安です
A.気になり始めると、そこばかり見てしまうものです。まずは同じ場所を同じ明るさで写真に残してみてください。記憶だけで比べようとすると、実際より変化を大きく感じてしまうことがあります。そのうえで、数か月たっても見え方が変わらない、範囲が広がっているという場合は、ご自身で原因を判断せず皮膚科や専門のクリニックへ相談することを検討してみてください。

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