女性の薄毛にはどんな治療がある?学会が示す選択肢と注意点
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薄毛が気になり始めて調べていくと、どこかの段階で「治療」という言葉に行き当たります。けれど、そこから先がなかなか進みません。何をする治療なのか、どのくらいお金がかかるのか、そもそも自分がその対象なのか。分からないことが積み重なると、受診そのものが遠い話に感じられてきます。
インターネットで検索すると、今度は情報が多すぎて別の意味で迷います。断定的に効果を語るページもあれば、不安を強めるだけのページもあります。この記事では、日本皮膚科学会が一般向けに公開している情報を手がかりに、女性の場合に示される選択肢の全体像と、費用や安全性の面で先に知っておきたい注意点を整理します。受診を決めるためというより、受診するかどうかを考えるための材料として読んでいただければと思います。
治療の情報は、女性と男性を分けて読む必要があります
先にお伝えしたい要点は二つあります。ひとつは、薄毛の治療に関する情報は、女性と男性で内容が異なるということ。もうひとつは、女性型脱毛症として挙げられている治療は、健康保険が使えない前提で考えることになるということです。
薄毛の治療について検索すると、男性向けの情報が数の上では圧倒的に多く出てきます。同じ「薄毛」という言葉でくくられているため、そのまま自分に当てはめて読んでしまいがちなのですが、女性の場合は前提が変わります。後ほど詳しく触れますが、男性向けとして広く知られている内服薬は、女性型脱毛症では行うべきではないと説明されています。この一点だけでも、情報を読み分ける理由としては十分です。
もうひとつの費用の話も、早い段階で知っておくほうが計画を立てやすくなります。保険が使えないということは、金額が医療機関ごとに設定されるということです。だからこそ、治療の中身と同じくらい、費用の確認が大切になってきます。

原因が一つに決まっていないことが、選択肢の前提です
治療の話に入る前に、その手前にある考え方を押さえておきます。ここが分かっていると、なぜ「まず受診して状態を見てもらう」という順番になるのかが納得しやすくなります。
学会は原因を一つに絞っていません
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、女性型脱毛症について「男性ホルモンの影響に関して明確なデータはなく、女性ホルモンの状態など様々な理由により生じている場合が多いと考えられています」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q8「女性型脱毛症は男性型脱毛症とちがうのでしょうか?」)。
専門の学会が、原因を一つに決めない書き方をしているという事実は、読むときの物差しになります。ホルモンの変化だけで説明しきってしまうページや、ひとつの原因を断定してそこに対策を結びつけるページを見かけたら、少し慎重に読んでよい、ということです。
だから、順番としては「見てもらう」が先にきます
原因が一つに決まっていないのであれば、自分で原因を突き止めてから行動する、という順番は現実的ではありません。頭皮の状態を直接見られる立場の人に確認してもらい、そのうえで選択肢の話をする。この順番のほうが、遠回りに見えて確実です。
気になり始めてはいるものの、受診するほどかどうか判断がつかないという段階であれば、まず変化を記録しておく方法があります。同じ条件で写真を残しておくやり方は抜け毛が増えた気がするとき|変化の見方と記録のしかたで整理していますので、受診前の準備としてもお使いいただけます。
学会のQ&Aが挙げている治療と、そこに添えられた注意点
ここからが本題です。日本皮膚科学会は、女性型脱毛症の治療について一般向けのQ&Aを公開しています。そこに書かれている内容のうち、受診を考えるときに影響が大きい二点を取り上げます。
費用は、保険が使えない前提で考えます
同じQ&Aは、挙げている治療について「いずれも、男性型脱毛症と同様、保険診療外の治療となります。」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q9「女性型脱毛症の治療にはどのようなものがあるでしょうか?」)。
保険診療外、つまり自由診療ということは、価格を医療機関がそれぞれ決めるということです。同じような内容でも金額に幅が出ますし、初診料、薬の代金、その後の再診料が別々にかかることもあります。総額がいくらになるのかは、期間と回数まで含めて聞かないと見えてきません。
費用を尋ねるときは、次のように項目を分けて聞くと全体像がつかみやすくなります。
- 初診料と、二回目以降の診察料
- 薬や外用剤の一か月あたりの費用
- 続ける期間の目安と、その間に通う回数
- 検査を行う場合に別途かかる費用
- 途中でやめたいと思ったときの手続き
一度にこれだけ質問するのは気が引けるかもしれませんが、自由診療の窓口では珍しいことではありません。あらかじめメモに書き出して持っていくと、その場で聞き漏らさずにすみますし、複数の医療機関を比べたいときにも同じ物差しで並べられます。
なお、ここで説明されているのは、そのQ&Aが挙げている治療についてです。頭皮に炎症があるなど、別の状態が背景にある場合まで同じとは限りません。ご自身の場合にどうなるかは、受診したときに確認するのが確実です。相談先を皮膚科と専門クリニックのどちらにするかで迷っている方は、それぞれの特徴を女性の薄毛は何科に相談する?皮膚科と専門クリニックにまとめています。
男性向けとして知られている内服薬は、女性では扱いが違います
もう一点、安全に関わる大切な説明があります。同じQ&Aは、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬について、女性型脱毛症では「有効性が確立されておらず、また妊娠の際の副作用の問題などから行うべきではありません」と説明しています(日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q9)。
薄毛の薬として名前が知られているものが、女性にはそのまま当てはまらないということです。パートナーやご家族が使っているものを分けてもらう、といった発想が思い浮かんだ場合も、ここで止まってください。同じ悩みに見えても、扱いが違います。
この説明の中で、妊娠の際の副作用の問題が理由のひとつとして挙げられている点にも触れておきます。産後の抜け毛が気になって調べている方や、妊娠の可能性がある年代の方は、特に自己判断で手に入れることのないようにしてください。何を使えるかを決められるのは、状態と背景を確認できる医師だけです。
個人輸入という言葉を見かけたときは
調べていると、海外から薬を取り寄せる方法を紹介するページに行き着くことがあります。金額の面で目を引くように書かれていることもありますが、この方法は避けてください。
診察を経ないということは、体質や持病、飲んでいる薬との相性を誰も確認していない状態で使うということです。さらに、健康被害が起きたときに国内の救済制度の対象外となる可能性があります。安く済ませたいという気持ちは自然なものですが、その先の負担が読めない選択肢です。
セルフケアと受診の線引きを、どこに置くか
ここまでは医療機関の話でしたが、日々のケアとの線引きも整理しておきます。
医薬部外品でできることの範囲を知っておく
ドラッグストアで購入できる育毛剤の多くは医薬部外品にあたり、表示できる効能の範囲があらかじめ決められています。パッケージに書かれている言葉は、その範囲の中で選ばれたものです。読み方のこつは女性用育毛剤はいつから?医薬部外品の効能表示の読み方で解説していますので、店頭で迷ったときの手がかりにしてください。
大切なのは、市販品とクリニックで扱うものを優劣で比べないことです。区分が違えば、使うときの手続きも、期待できることの説明のされ方も変わります。並べて比べるより、それぞれの位置づけを知って選ぶほうが、納得のいく買い物になります。
相談を検討したい状態
日々のケアを続けながら様子を見ていてよい場合と、一度専門機関に見てもらったほうがよい場合があります。目安として、次のような状態に心当たりがあるときは、相談を検討してみてください。
受診したからといって、その場で何かを始めることが決まるわけではありません。状態を見てもらい、説明を聞いたうえで、費用や続けやすさを考えて見送るという判断も当然ありえます。今の状態を知ることと、治療を始めることは別のことだと考えておくと、受診のハードルは少し下がるはずです。
美容師の現場から

分からないまま止まっているより、確かめに行く
女性の薄毛の治療について調べるときは、まず情報が女性に向けたものかどうかを見る。次に、保険が使えない前提で費用の全体像を聞く。そして、男性向けとして知られている薬をそのまま自分に当てはめない。この三つを持っておくだけで、調べものの精度はかなり変わってきます。
そのうえで、原因が一つに決まっていない以上、自分で答えを出してから動く必要はありません。学会が原因を絞り込まない書き方をしているということは、専門家でも慎重に扱う領域だということです。だとすれば、頭皮を直接見られる人に確認してもらうのが、いちばん早い道になります。
気になる状態が続いているとき、頭皮に症状を伴うときは、皮膚科や女性の薄毛を専門に扱うクリニックへの相談を検討してみてください。何かを決めに行くのではなく、材料をもらいに行く。そのくらいの気持ちで足を運んでいただければ十分です。
参考にした情報
よくある質問
- Q.薄毛の治療に健康保険は使えますか?
- A.日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、女性型脱毛症の治療として挙げた選択肢について『いずれも、男性型脱毛症と同様、保険診療外の治療となります。』と説明しています。ただしこれは、そのQ&Aが挙げている治療についての説明です。頭皮に炎症があるなど別の状態が背景にある場合は扱いが変わることもありますので、実際にご自身がどうなるかは、受診したときに確認するのが確実です。
- Q.男性向けの内服薬を女性が使うことはできますか?
- A.同じQ&Aは、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬について、女性型脱毛症では『有効性が確立されておらず、また妊娠の際の副作用の問題などから行うべきではありません』と説明しています。男性向けとして知られている薬をそのまま女性が使う話ではない、という点は知っておいてください。使用の可否を判断できるのは医師だけです。
- Q.市販の育毛剤と、クリニックで扱うものは何が違いますか?
- A.薬機法上の区分が異なります。ドラッグストアで購入できる育毛剤の多くは医薬部外品で、うたえる効能の範囲があらかじめ決められています。一方クリニックで扱われるものには医薬品が含まれ、医師の判断のもとで使われます。どちらが上ということではなく、位置づけと手続きが違うとお考えください。
- Q.受診したら必ず治療を始めることになりますか?
- A.多くの医療機関では、まず状態を見て説明を受ける段階があります。そのうえで治療を受けるかどうかを考えることができますし、費用や続けやすさを理由に見送るという判断も当然ありえます。今の状態を知ることと、治療を始めることは別のことです。
- Q.海外から個人輸入した薬を使う方法を見かけますが、どう考えればよいですか?
- A.医師の診察を経ないまま薬を手に入れて使うことになるため、体質や既往との相性を誰も確認していない状態になります。何かあったときに国内の救済制度の対象外となる可能性もあります。費用の面で目を引く情報が出てきても、この方法は避けてください。
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